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外国人向けリノベ成功事例|居住&収益率UP|ソリオ武庫之荘

外国人労働者の増加に伴い、今不動産業界で熱い視線が注がれている外国人向けの賃貸需要。空室率を抑える一手として検討する不動産経営者の方は多いのではないでしょうか。

昔ながらの日本の賃貸業界と外国人のニーズとは異なります。従来の感覚ではネガティブに思える点が外国人にとっては気にならなかったり、魅力にさえ感じたりするのです。外国人のニーズを取り入れることは、新たな層の獲得とともに、収益率を向上させる可能性も秘めています。

デザインリフォームやシェアハウス化、家具付き物件化など、収益UPのアプローチは様々。事例を知ることで、コストや物件の個性に見合った方法が見えてくるかもしれません。外国人向けリノベーションにより物件の価値向上に成功した事例を、シリーズでご紹介していきます。

目次

    外国人向けリノベで収益&入居率UP|ソリオ武庫之荘

    今回ご紹介する物件があるのは、阪急電鉄神戸本線 武庫之荘駅のほど近く。関西で穴場だと思う街4位にも選ばれた知る人ぞ知る人気エリアです[1]。

    ソリオ武庫之荘がリノベーションを行ったのは2020年。外国人ニーズに合わせた物件として貸し出したことで、家賃を1万円UPした上で全18室中8室あった空室が7室が埋まりました。空室率を抑えるだけでなく収益率向上も実現できたそのワケを、ポイントごとにフォーカスします。

    リノベーションはまだ道半ば。ショートステイ向けプランや家具・家電付きルーム、コミュニティスペースを設けるなど、計画は進行中とのこと。

    メリハリあるレイアウトでスペースを最大限に活用

    3点ユニットをセパレート
    各水回りスペースを独立

    入居者の実際の使用風景。「シャワーだけで不便を感じたことはありません。ユニットバスだと洗面スペースやトイレまで濡れたり湿気がこもったりするのが嫌だったので、むしろ気に入っています」と入居男性。

    「3点ユニット」は、浴槽、洗面台、トイレが一つの空間に配置されたバスルームを指します。少ないスペースで水回りを配置できることから、日本の単身者向け物件や集合住宅、ホテルで多く目にするレイアウトです。

    お風呂でリラックスすることを求める日本人が、バス・トイレ別を住まい探しの条件に挙げるのは想像に難くないでしょう。しかし、その要望は日本を訪れる外国人も例外ではありません。

    「バスルーム、トイレ、洗面台が独立した物件がいい」(アフガニスタン 女性)
    「誰かがシャワーを浴びている間はトイレに入ることができず、友人を招いた際に不便」(インドネシア 男性)
    「日本の部屋は狭い」(フィリピン 男性)
    「バストイレ一緒だと匂いや湿気が気になる」(イギリス 女性)

    不動産サービス「SUGEE Housing」に寄せられた声

    3点ユニットをセパレートに改修するにあたって目をつけたのが、浴槽のスペースです。毎日湯船に浸かる文化は、世界的に見ると少数派。浴槽を取り払いシャワーのみにすることで、同じ面積内に独立した水回りスペースを設けることを叶えました。

    手軽にできる
    スペースを活かした収納リノベ

    ハンガーラック

    Before

    After

    押入れは撤去し、大容量のハンガーラックを設置。扉で仕切らず白で統一することで、開放的で明るい空間に仕上げています。

    引越しの度にかかる初期費用は、外国人が特に高いと感じることの一つ[2]。家具・家電付きの物件は入居者の負担を軽減でき、物件の魅力UPに繋がります。家具付き物件化の第一歩として、まずはローコストな収納家具から試してみるのはいいかもしれません。和室を改装する際には、選択肢の一つにしたいアイデアです。

    入居者の使用風景。写真手前に写っているのは、入居者が以前暮らしていた家では収納が足りず、ホームセンターで購入したハンガーラック。「この家ではもう必要がないので箱にしまったままになっています」と教えてくれました。

    キッチンシェルフ

    Before

    After

    扉を無くしたオープンな空間に、単身者に合ったコンパクトでシックなデザインのキッチンを配置。目地の汚れが気になるタイルから、フラットで清潔感のある内装へ改装しています。

    入居者に密かに好評なのが、キッチンのリノベーションに伴い備え付けられたラックです。ある入居者は、食料品のストックに使っていました。建物全体のデザインマナーと揃え、スタイリッシュな印象に仕上げています。

    キッチンシェルフ

    入居者の使用例

    デザインを統一し、洗練された和モダン物件に

    Before

    After

    褐色のレンガをホワイトタイルに張り替えたのに合わせ、アプローチもコンクリートに変更。モノトーンを基調にしたシックなデザインと木の温かみが融合した和モダンな雰囲気が魅力です。

    軒にあしらわれた瓦は、レトロなアクセントを効かせる物件の個性としてそのまま活かしています。

    前述のキッチンシェルフからもわかる通り、このデザインマナーは外観だけでなく各部屋の内装においても統一。古さを感じさせないルックスで、外国人に限らず若い入居者が増えました。

    清潔感のある白は、部屋を明るく広く見せる効果ももたらしています。のっぺり単調な白ではなく、さりげなく凹凸のある壁紙やフローリングを採用。白色の中でも素材で表情をつけているのは、真似したいポイントです。

    トイレ以外の空間を区切る扉は撤去し、一続きのワンルームに。大きな窓から明るい日が差し込みます。

    事例からの学び

    • 固定概念を取り払い、実態に合った間取りへ最適化を
    • 問題もその解決策も、ニーズから紐解ける
    • デザインを味方に、最小限のコストで最大限のリノベを

    生活様式においてもグローバル化が進む今、外国人のニーズに目を向けることは物件に新たな価値を創出する手掛かりになるかもしれません。

    参考資料

    [1]SUUMO住みたい街ランキング2020 関西版 ~その他(穴場だと思う街、住みたい沿線)ランキング〜 ( SUUMO Produced by RECRUIT),https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/sumai_nyumon/data/sumimachi2020kansai_sonota/

    [2]外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居について(国土交通省) https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000017.html