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外国人労働者のお部屋探し事情

日本政府による雇用の支援や、企業のグローバル化の促進をきっかけに、日本で働く外国人労働者は年々増えています。厚生労働省によると、令和3年10月末時点での日本における外国人労働者数は約173万人であり、2013年から過去最高記録を更新し続けています[*1]。職場での外国人労働者の採用を検討している企業担当者の方も多いのではないでしょうか。

 この記事では、そんな企業担当者の方に向けて、外国人のお部屋探しの現状や方法、発生する問題点や担当者の方がすべきサポートについて解説していきます。

目次

    入居を拒否されるケースが多い

     前提として、外国人のお部屋探しは非常に困難です。平成29年の調査では、外国人労働者の2.5人に1人が、「外国人であることを理由に入居を断られた」と回答しています。また、「日本人の保証人がいないことを理由に入居を断られた」という回答も少なくありません。

    [*2]「平成28年度 外国人住民調査報告書」外務省 (n=2044)データより作成

     

     不動産オーナーの中には、「文化や習慣の違いを理解してもらえず、物件を正しく使用してもらえないのでは」などの不安を抱いている方も多いようです。実際に、お部屋探しを外国人労働者本人に任せきりにしてしまうと、手続きの煩雑さや保証人探しの難しさが原因で、入居までかなりの時間がかかってしまうことも。採用したのに入居できずに働けないという状況を防ぐためにも、企業担当者側からのサポートが必要不可欠です。

     また、企業担当者が部屋探しのサポートを行うことや社宅を提供することは、企業のイメージや信頼性の向上に繋がり、日本での就業を考えている有能な人材を獲得するためのアドバンテージになるでしょう。

    お部屋探しの支援方法とは?

    お部屋探しをサポートするために企業がすべき手段は3つあります。

    ①本人が物件を探すサポートをする

    具体的には、不動産仲介事業者や賃貸物件に関する情報の提供や、物件探しや契約への同行を行います。また、民間の賃貸物件に入居をする際には、連帯保証人が必要になることが多いです。企業担当者が保証人になれない場合には、保証会社を利用するようにしましょう。

    メリット  外国人入居者の希望に沿った物件を見つけることができる。
    デメリット 物件や保証人・保証会社を探したり、同行、手続きするなど手間がかかる。

    ②企業が物件を借りて、住宅を提供する

    受け入れ企業自身が賃借人として賃貸契約を行い、外国人入居者の同意のもとで住居を提供します。

    メリット  企業が契約を行うため、家賃滞納などのトラブルを回避できる。
    デメリット 外国人入居者を受け入れてくれる不動産会社および貸主を見つけておく必要がある。

    ③企業が保有する寮や社宅を提供する

    企業が寮や社宅を保有している場合には、住居として提供することができます。

    メリット  外国人入居者による契約が不要であるため、スムーズに入居できる。
    デメリット 在留資格によっては部屋の広さに規定がある。(技能実習生ならば4.5㎡以上、特定技能外国人ならば7.5㎡以上)[*3]

    これだけは注意!発生しうるトラブルと予防方法

    1.手続きが煩雑で、外国人には理解しにくい

     入居を申し込み、審査を受け、重要事項説明を聞き、賃貸借契約を結ぶ──。物件探しのみならず、入居までにはいくつものステップがあり、そしてその手続きは複雑です。国土交通省が作成した「部屋探しのガイドブック」を共有し、疑問の解消を手伝いましょう。

    Apartment Search Guidebook-ENGLISH- 」(国土交通省)[*4]

    (このガイドブックは英語版のほか、日本語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語、ネパール語、タイ語、インドネシア語、ミャンマー語、カンボジア語、タガログ語、モンゴル語の14カ国語版あります)


     外国人労働者に対し日本語で対応する場合には、分かりやすい日本語で答えることを心掛けるといいでしょう。分かりやすい日本語のコツは「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」が役立ちます。

    在留支援のためのやさしい日本語ガイドラインの概要」(出入国在留管理庁ホームページ)[*5]

    2.言語や文化の違いが大きい

     室内での靴履き禁止や、市区町村が定めたルールに従ってゴミを分別するルールが一般的ではない文化も世界には多く存在します。中でも匂いや騒音は、文化の違いにより生じやすいトラブルです。また、トラブル発生時に言語の壁へ困難を感じるケースもあります。こうしたトラブルを防ぐために、入居前に日本における住居ルールをしっかり説明しましょう。国土交通省の「入居の約束チェックシート」が役立ちます。
    入居の約束チェックシート」(国土交通省) [*6]

    3.商習慣の違い

     外国人にはあまり馴染みのないルールとしてよく挙げられるのが、敷金・礼金。日本と似通った商習慣が存在する国もありますが、敷金のみ存在する国やどちらも存在しない、或いは独自の契約方法を利用する国もあります。外国人労働者が「敷金・礼金について知っている!」と言っていても、定義が異なる可能性があるため、一からきちんと説明する必要があります。

     原状回復のチェックが厳しいのも日本の不動産ルールの特徴です。下見に同行して、部屋の使い方を共に確認しましょう。こちらの資料は、チェック項目を網羅しています。
     「敷金と原状回復」(特定非営利活動法人かながわ外国人すまいサポートセンター) [*7]

    まとめ

     本記事では、外国人採用を検討している受け入れ企業が行うべき支援方法や、発生しうるトラブルとその対策について紹介しました。とはいえ、支援するのが難しい方もいらっしゃるかと思います。そんな企業担当者の方や不動産オーナー、外国人労働者をサポートしているのが、SUGEE Housingです。

     在関西海外人材ビジネス支援に取り組んできたSUGEEは、外国人人材や教育機関、受け入れ企業・団体に多くのネットワークとノウハウを持っています。SUGEE Housingでは、外国人入居可の物件データベースを作成し、貴社や貴社の外国人従業員と日本の不動産オーナーをマッチング。ご要望に添った物件のご紹介、交渉、契約、日本の居住マナーのレクチャーも行なっております。

    出典

    [1]「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和3年10月末現在)」厚生労働省HP https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23495.html (2022/08/12)

    [2]「平成28年度 外国人住民調査報告書 ー訂正版ー」人権教育啓発推進センター (https://www.moj.go.jp/content/001226182.pdf)

    [3]「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」出入国在留管理庁 (https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri07_00201.html)

    [4]「部屋探しのガイドブック」国土交通省 (https://www.mlit.go.jp/common/001317844.pdf)

    [5]「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」出入国在留管理庁・文化庁 (https://www.moj.go.jp/isa/content/930006071.pdf)

    [6]「入居の約束チェックシート」国土交通省 (https://www.mlit.go.jp/common/001317842.pdf)

    [7]「敷金と原状回復」特定非営利活動法人かながわ外国人すまいサポートセンター (http://www.pref.kanagawa.jp/documents/27832/554116.pdf)